カーボンニュートラルの実現に向けて
これまでの取り組み
当社は、2000年代初めから、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビにおける排出ガスのゼロフレア化に始まり、ベトナムでのCDMプロジェクト、CO2-EORパイロットテストなど、環境対策・温暖化防止に先駆的に取り組んできました。
中東初
2000年、中東では初となるこれまで焼却していたサワーガスを地下圧入して処理することで、CO2と硫化水素の排出を大幅削減した石油生産を開始し、フレアリングを大幅に削減しました。
世界初
2007年、ベトナム・ランドン油田において、石油開発業界では世界初となるクリーン開発メカニズム(CDM:CO2排出を従来より大幅に低減させた資源開発)の認定を受けました。
世界最大級
2017年、米国において、燃焼排ガスからCO2を分離回収し、地下に圧入するPetra Nova CCUSプロジェクトを事業化しました。
このプロジェクトは、年間約140万トンのCO2を回収する世界最大級のCCUSプロジェクトです。
国内初
2030年にCO2圧入開始を目指す先進的CCS事業のひとつを担っています。
九州西部沖において、年間170万トンのCO2地下圧入をめざし、具体的な検討を加速中です。
2050年に向けたロードマップ
当社は、ENEOSグループの一員として、以下のグループ目標の実現に貢献いたします。
- 1.2030年時点で温室効果ガス排出量を2013年度比マイナス46%
- 2.2040年時点でカーボンニュートラル
また、社会の一員として、世界中で排出されているCO2を大量削減出来る手段であるCCS/CCUSなどの技術を必要としている顧客に提供いたします。
この二つの課題を実現するために、2030年500万トン、2040年1,500万トン、2050年5,000万トン超のCO2地下貯留というチャレンジングな目標を掲げました。
当社は、サステナブルな社会の実現に貢献すべく、CCSを軸とした多様な事業展開を模索していきます。
実施・検討中のCCS/CCUSプロジェクト
米国・Petra Nova CCUS プロジェクト
米国・テキサス州において、老朽化油田からの飛躍的な増産と大気中へのCO2の放出削減を同時に実現するプロジェクトを進めています。
本プロジェクトでは、石炭火力発電所から排出されるCO2を分離・回収し、生産量が落ちた油田に圧入します。これにより、同油田の生産量を大幅に増加させるとともに、大気中に放出されるCO2を効果的に削減することが可能になります。
ここで用いるCCUSの一種であるCO2-EOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)技術は、CO2を地中に圧入・貯留することで油田の生産性を高める技術です。
当社の取り組みは、石炭火力発電所から排出されるCO2を活用して商業化に導く点が特に先進的であるとして、米国におけるクリーン・コール・パワー・イニシアチブ・プログラム(環境調和的な石炭利用技術の促進政策)のもと、米国エネルギー省による1億9,500万米ドルの補助金対象事業となっており、2016年12月に商業運転を、2017年2月に増産回収による原油生産を開始しました。CO2回収プラントは、年間約140万メトリックトンのCO2回収量を誇り、燃焼排ガスからCO2を回収するプラントとしては世界最大規模です。
CO2-EORの仕組み
マレーシア・BIGSTプロジェクト
2024年、当社はペトロナス(Petronas)およびペトロナスチャリガリ(Carigali)と、マレー半島沖の高濃度CO2を含む未開発ガス田群(Bujang、Inas、Guiling、Sepat および Tujoh(BIGST))の生産分与契約を締結し、同ガス田群の権益を取得しました。同時に当社とCarigali間で共同操業協定(JOA)を締結しました。
BIGSTガス田群は豊富な天然ガス埋蔵量(約4兆標準立方フィート)を有することが確認されておりましたが、ガスと共に高濃度のCO2を含んでいることから、開発が見送られてきた経緯があります。
当プロジェクトは、天然ガスとともに産出されるCO2を分離・回収して近隣の減退ガス田に圧入する、従来型の天然ガス開発と環境対応型事業であるCCSを組み合わせた、低炭素の石油・天然ガス開発事業のモデルケースと言えます。
当社はアクティブパートナーとして、PetronasおよびCarigaliとともに、天然ガス需要が増加するマレーシア国内へのガス供給増に貢献するとともに、CCS実装によるカーボンニュートラル実現に向けて、具体的な検討を進めています。
日本・先進的CCSプロジェクト
当社は、ENEOS、J-POWERと共同で、国内での先進的CCS事業の実施に係る調査に取り組んでいます。
2030年のCO2圧入開始を目標に、西日本地域においてCO2貯留候補地選定のための探査・評価を行っており、2023年2月には、3社合同で「西日本カーボン貯留調査株式会社」を設立しました。
国内で初めての大規模なCCSバリューチェーンを実装することで、エネルギーの安定供給を果たしつつ、わが国の温室効果ガス排出削減目標の達成への貢献を目指します。